DUNE、砂の惑星みた。2021年版。 ちなみに原作もリンチ版も未視聴で、ホドロフスキーのデューンだけ見てる(今回気付いたんですがあれってDUNE本編の内容にほとんど触れてないんですね・・) という偏った知識です。 まず映像めちゃくちゃよかった。 映画館で見て。 ・・・。 すみません映像面の凄さは「映画館で見るために作りこまれた映画館で体感するべきクオリティ」のアレなんで仔細には書くつもりが無いため概観だけ・・ ---- ライティング/構図。特に今の世代だからこそ表現が熟成され可能になった、CGの煙を存分に使い煙やフォグを前提にした構図、絵作りや演出の多用。 多弾頭ミサイル、バリア、ビーム、オーニソプター、戦艦破壊など、 アニメ等にもよく観られる古典的表現を現在先端技術でゴリゴリのクオリティで描画。 単なる一本の「市街地ビーム攻撃」だけでも表現が一段引き上げられちゃって CG屋としてどうしましょう(歓喜 という感じです。これが新しいスタンダードかぁ、とおもた。 (VFXを担当したDNEG社の表示にエンドロールでわざわざ1画面分空けてあるところに貢献度と監督がいかに重要視してるかがみてとれます) 色んなものをひっくるめて"世界観"としてド正面から素晴らしく描き切っていて、 人によってはこれが初代のスターウォーズやブレードランナーでぶっ飛ばされたような、 映画世界の原体験になりうる。 そんな作品だと思いました。 ----- ほんで、今回かいておきたかったのは感想ググってたらあんまり見られなかったストーリー面について。 パート1で大筋はけっこう王道なんですが、特にラストの決闘の意味とひねりについて。 原作の凄さもあるのですが、構造的に監督の以前の作品「メッセージ」の一歩先を行っているのです。 まず、主人公には予知能力があり、 中盤で砂嵐に巻き込まれた際には、予知した「未来の友人」との会話を参考に、風の流れに乗ることで危機を脱します。 この「未来でしか知らない情報で現在を書き換える」というのは、「メッセージ」でもあった一種のループ構造ですね。で、この予知は劇中何度か丁寧に出てきまして、 「これは第二部につながるんだなぁ。けど、かなり丁寧に描いていてこのまま2部で再度つながっても、冗長になってしまわない?」と思ったのですが・・ なんと最後の決闘で対決するのは、このアドバイスをしてくれたはずの「未来の友人」なわけです。 命を救った「流れに乗れ」という場面も、ピッケル的な道具を持っていた所からしてサンドワームの乗り方を教わる場面だったのでしょう。 そこまで親密になって、砂漠での生き方を教わるであろう友人。 それを殺してしまう。 ポールがあの表情を浮かべていたのも、いずれ友人になれたであろう者への哀悼なわけですね。 (この流れを読み取らないと、ただの小物っぽい中ボスを倒しただけに見える) ここで、今まで描写していた予知がすべて意味を変えます。 まず友人との関係は消滅。命を救ったはずの会話をする未来も今はない。(ここが私的に一歩進んだと思ったポイント。役立てたはずの未来すら消してしまう) 他の様々な描写も「ほぼ確定的だった未来」から、「未確定の未来の一つ」になる。 なんとなく想像していた「第二部はこうなるのかなぁ」という想像はすべてミスリードでリセット。 どの予知が正しいのか、全て曖昧になる。 恐れていた聖戦も、避けられないものではなく、ありうる一つの未来になった。 言ってみれば、ターミネーター2で未来が不確定になった後。暗闇の高速道路エンドなんですね。 聖戦はポールにとって恐るべき終末戦争なのでしょう。 この多重構造を1本で成立させる凄さ。メッセージを経たからこそ、とも思えます。 ありえたであろう2部の友人や垣間見る聖戦の辺り含めて、言ってみれば1.5本分ぐらいのストーリーが圧縮された構造になってる。 乱暴に言うと、この1作だけでも成立できる。 シンプルに見せつつ凄く高度。 未だに次作が確定していない(ほぼ作られそうな雰囲気だけどスタジオのゴーサインはまだ出ていない)ので、 監督としても「最悪次作が作れず、これ1作だけになった場合でも、最低限1本で成立できるつくりにする」という形にしたのかなと。 いやーすごいわーー。 私的にビジュアル面でもストーリーでもすごい作品でした。 キャラ、ストーリー、世界観という3本柱があるんですが、 世界観にガン振りしたように見せつつ他もめっちゃレベル高い。(男爵の地獄の黙示録感とか細かいとこ挙げてくときりがない) ぜひ、劇場で。A word #Dune pic.twitter.com/zQafTRLnnk
— Kendall Troy (@ToureDeTrap) October 22, 2021