アトムザビギニング OPと面と線

アトムザビギニングのOP
https://www.youtube.com/watch?v=rKXiea-9uB4
これ観て自分の中のアニオタエンジンがドルンと回ったので
また久々にブログを更新しようと思い立ったのです。

要はこのOPのスタイル、イイね、という話。

さて前提。
鉄腕バーディー観た時に作画うっひょーとなって書いた記事がコレ。
http://cypha.s602.xrea.com/archives/206
もう9年ほど前という事に動揺しますが、作画の部分に関してまとめると
「デジタル作画の利点の一つがブラシによる色面での作画(ヨツべ氏曰く「面作画」)で、
今後広がるであろうその表現の色々な可能性に心が躍るし期待してる」のでした。

ちなみに従来の用語で似た手法は色トレス処理だけど、作画する時の意識や処理工程から別物なので別種とした方が妥当かなーと。

ほんで、昨今はもう色んな日本のアニメやOP/ED等でもデジタル作画的な表現を見かけられるし、プロダクションの作画デジタル化も方々で色々しているようで面白いんですが、
今回、アトムのOPでこれは面白い、と思ったのはその線の使い方が普段と逆転している、と思えたところでした。

従来のアニメ(特にキャラ作画)では基本的には原画の線を起点として様々な塗り分けや処理を加えて行くため、
基本的に線が主、色面が従といった関係があると思っています。
(もちろん色面のみのエフェクト作画とかあるけど、キャラは普通は輪郭線全部つけて各部色トレスとかですよね)

アナログの原画をベースとする場合にはそもそも線の途切れ自体が仕様としてダメとされがちなので、大平作画とか特殊カットでない限り途切れさせる事は少なく、
作品を通してAEで主線に何かやるにしてもノイズ入れたりの系統が大多数、
例えばとなりの山田くんとかルパンの新シリーズとか途切れているものもあるけれど、
方向性としてはトレスマシンだったり手描き感の再現で、あくまで主体は線による表現が多いと思うんです。(それに作業中は線しか見えないし、線画としての完成度が画面に反映されるようになるのは当然の流れかなと。)

対してアトムOPの場合、キャラであっても要所で輪郭線を途切れさせたり、パーツによっては線ナシになって、色面のシルエットを輪郭線が補助的に支えるような割合で絵を成立させている部分が多いんです。
デジタルによる色面のみの表現は多くなってきましたが、今回の場合は線を全て無くすのではなく、効果的にシルエットやディティールを認識させるよう補助的に使っている、
もしくは要素によって線の割合をコントロールしているのが勘所でしょうか。
普通のカットでも人物の線を途切れさせているけれど、特にアクションカットではこの関係性が顕著になり、流れ星やモブ、ケーブルなどは色面を多く、今まで以上にディティールの情報量を整理する。

イラストや海外のアニメーション作品などでは見かけますが、(例えば「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」)
この線と色のバランスをアニメでやるのはだいぶ珍しいんじゃないでしょうか。

このような「色面で基本的なシルエットを成立させつつ、要所のディティールを補助的に線で補う」という絵のつくりは
シルエットの認識のしやすさやデジタルの場合の作画効率など、一つのスタイルとしてけっこう理にかなったバランスなので、
今後デジタル作画の流通によって作画仕様の許容値が広がったらもっと増えていくんじゃないかと思いますが、どうでしょうね。(山田くんの時は作画マスク要るからめっちゃ大変だったって記事読んだ)

いやしかし色んな新しいものが出続けて面白いですね~。新しい世代が出てきてそれによってまた新しい様式や表現が生まれていったりして。
そして新世代が出てきつつも未だにこの表現競争で橋頭保を構築し続けてる江面さんまじぱない・・。

画と肌と影色と

久々更新ッ!
自分でも前の記事何書いたんだか忘れる程度にblog放置してますが、
じつはこの記事も少し前に途中まで書いて放置してた・・ので、話題として出たのはちょっと前の話です。

twitterにて@terraonさんや@tkjulyが紹介されていた人肌や色みのページを見て、
自分の中で色々とまとめたくなったのでまとめ。
いつもながらあやふやな箇所が色々あると思いますので御了承ください。あひゃーい。

さて、このあたりのページで最近の肌の色やカラコレについて紹介されているんですが、

http://pointbreak.blog66.fc2.com/blog-entry-295.html

http://prolost.com/blog/2008/3/23/save-our-skins.html

流れをかなーり簡略してまとめると
「人の肌を際立たせるのに陰色を緑にするといいよ。補色だから。」
という事で、最近映画のカラコレでも多くなってきているようです。

で、多くなりすぎて
「最近のハリウッド映画あんなカラコレばっかじゃないですか・・」
http://theabyssgazes.blogspot.com/2010/03/teal-and-orange-hollywood-please-stop.html
的なツッコミも出ている現状。

この、全体的に肌色+緑色の色調をを”テール&オレンジ”って言うらしいんですけど、
それ見て顔料(絵の具)の”テールベルト”を思い出しました。

私はあんまり画材には詳しくないんですが、
緑系の顔料で、古くから人の肌の地塗りに使用されてたものらしいんです。
地塗りに緑を使用したりする事自体、テンペラ画ではVerdaccioって技法としても確立されてるそうで。

なので、元々人肌に緑とか、陰に青とかはオーソドックスな技法として定着してるものだし、
参考にこそすれど、そんな目くじら立てなくてもええですやんって思うんですけどね。
上で過剰な例にしてるモナリザだって、元々色相的には緑と肌色じゃない?
実物見たこと無いから実際の色調がどの程度か知らないですけど・・。
モナリザ画像検索
(印刷物とかは彩度強めに出すのが多かったりするし、実物の方にも経年劣化もあるだろうし、結局作者の意図として正確な色は分からないですが緑は出てるよね。)

といっても、陰が緑なのがいやっていうより、やりすぎイクナイって事なんでしょうね。量も質も。
たしかに映画の例を見ると、ほぼ緑のモノトーンまで行っちゃてるのが多い印象。
そういえば先日ドラマの「竜馬伝」見たんですが、あれもかなり濃いテール&オレンジが多かったなあ。

でもモノトーンに近い色調で、人肌ベースで考えるとなると色調って典型的な数種類になっちゃう気も。
白黒、セピア、テール&オレンジとか。

「肌を効果的に使う」って条件がある時点で、自ずと色のパターンは限られて来るんだろうなあ。
ほんでもって、ついでに思い出したのがこのページ。
http://ofo.jp/blog1132881740.phtml
こちらも陰色と補色と明度の関係をまとめてあり参考になります。

CGノチュートリアル以外にも、絵描きさんやpixi等で色彩についてまとめている方がいたり参考になりますね。

塗りを拡散反射光と間接光で描き分けるこの方とか、
http://mechanic.blog25.fc2.com/

色について考察してツールを作ったりしている方とか。
http://sayappixiv.client.jp/

ちなみに私は特に絵画系のNPRに興味があるので、
3Dやコンポ作る時にも絵画の技法を参考にしたりします。
地塗り、グレージング、水彩油彩の違いとかそういった類をソフト上の工程として落とし込む。
絵を描く時はどう考えてこんな風にするのかを理屈で考えてみたり。
Psoftのソフトを触っていると、そういった絵の工程をきちんと理論にして落とし込んでる感じがして好きです。
なのでそろそろliquid+を更新してくd(ry

CGというのが元来、現実を最大効率でデフォルメして上手くソフトとして落とし込んでいるものなんだけどね。
フォトリアルもNPRも、デフォルメの方針が違うだけで根っこは同じと思ってます。
けっこう、フォトリアル系の技術調べてるのにアニメ系CGやってるんですか?
って聞かれる事もあるんですが、そんな感じでございます。
というかアニメだからこそ色々調べてる。
アニメほど多様な表現は無いってアーサーCクラークも「幼年期の終わり」に書いてますから。

とりあえず、絵を作りたいなら絵の事を知っていた方がいいので、
絵画の技法とを調べてみたり、実際に色々な画材で描いてみるのも参考になると思います。軽く線引いたり塗ったり重ねてみたりする程度でも。
(私自身ctrl+Zどっぷりな上に油彩はほとんど触った事無いし、水彩とか一発勝負に近づくほど苦手ですが・・)

あと、現在発展中で未完成のCG技術と比べても、絵画の技法は美術としてある程度完成されたものとして見れるから、
明日には最適化されて消え去るかもしれないCGソフトのパラメーターを覚えるより、
色の扱いや諸々の要素を学ぶにも良いかなと。
なんというか”根っこ”に近いものを覚えた方がいいと思う。
光学(カメラ)みたいなのとか。

そんなこんなで昨日カラコレソフトのMagic Bullet Looks買ってみました。
長文になってきたのでまた次回。

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NPRバナシ

手書き風とかって単に手書き風の静止画ならテクスチャはっつければ簡単に実現できるけど、
動いた瞬間3Dとモロバレするのは周知の事実。
画のタッチってのは物質の面方向、奥行き、明るさその他を参照したものであって、
本質的に再現するには3Dジオメトリの情報と、感性を参照したタッチでなければいかんのじゃ。
ここ重要。今回の核心。

で、現在主に出回ってる「アナログ塗りっぽい3D動画」はほぼ全て平面的に処理したもんなんですね。
例えばこんな感じ。
http://www.synthetik.com/Gallery/Gallery-Moving/Movie_Pages/Gallery_Moving_UserA_pages/MoviePageUserA30.html
http://www.synthetik.com/Gallery/Gallery-Moving/Movie_Pages/Gallery_Moving_UserA_pages/MoviePageUserA14.html
ソフトはコレ。
http://www.synthetik.com/
水彩風とか、あんまりタッチの見えない2D的な方針ならこれでOKなんだけどね。

エフェクトで平面情報に加えて3D情報も参照すればいいんだけど、
そこまでエフェクト側にやらせるのは酷な感じ。
いや、出来ない事もないんだけど面倒かなあ。
AEなら、ノーマル情報とかを基にした3Dライティングプラグインを使ってみればなんとか。
簡単に言えば「AEで3Dオブジェクトをライティングできる」んですよ。実は。
http://www.taron.de/zborn/index.html
こんなのとか、似たようなフリープラグインもアルヨ。興味があったら聞いておくんなまし。
これを応用すれば3Dと2Dの境界を破った新たな表現が・・!
とか思ってたりしますがよければ暇な人やってみてください。
私は今のが終わったら試してみるつもりです。
上の2つのソフトと3D要素組み合わせれば、もう夢が広がりんぐですよ。

でもそれよかXSIみたいなレンダーノードで直にジオメトリ参照してタッチ作ってった方が良さそうなので・・
XSIでNPRレンダー出れば即乗り換える気概です。